【評価】 平均評価: 4.0/ 総数: 13件
[5点] 05年の邦画最高傑作
「黄泉がえり」をひとまず置いて、あの「害虫」の塩田明彦が帰ってきた!というインパクトだ。しかも「害虫」では、やや舌足らずだった部分が、本作品では格段に成熟し、確固たるものになっている。そんな作品の強度が素晴らしい。終盤、伊沢が光一に「自分自身に押し潰されずぬに生きろ」という一連の長台詞にそれが表れている。まさしく言わんとするメッセージがそこにある。主役の二人だけの物語だけに収めす、カルト教団とは何だったのかもストーリー上に投げ掛ける広がりのある世界観。「害虫」のそれを受け継いだ、子供の視点での大人世界の不条理。光一の祖父が彼の妹を自分の娘(すなわち光一の母)のやり直しのように育てようとする身勝手さ。(しかし、言句に尽くせぬ程のイヤガラセや中傷を浴びてきた事も説明されているので、やや同情的なニュアンスも伺えるが)、その母は自分と妹の存在など無視するかのように勝手にオトシマエをつけて自死してしまう。そんな愚かな大人達を忘れるな、力強くお前達の時代を生きろ。と言わんばかりのポジティブなエンディング!更にトドメをさすかのようなZAZEN-BOYSのラジカルなテーマ曲が一際鮮烈だ。 (2008-06-10)
[5点] ユキの老人との交流に癒される
いつか死ぬまでの「自立」という果ての見えない旅を始めた若すぎる2人(最後には3人)が
自力でその入り口にすら辿り着くのはほとんど絶望的な事でしかないだろう
映画を見終わり現実に戻ってそれを思うと暗澹としてしまうのだが
物語前半,何かと闘うように喋り続けだったユキが
コウイチや真っ正直に不器用に生きている他人との関わりの中で
段々と穏やかになっていったのは印象的だった
お婆ちゃん子だったらしい彼女が劇中
3人の立場を異にする老人と穏やかな交流をする場面は印象に残る
(最後の一人を除く)老人達へのいたわりの場面に癒される

(2007-07-07)
[5点] 子供も大人も迷ってる
後だしジャンケンなので信じてもらえないかもしれないが、
ボクも、蓮實重彦と同じように贅沢に作られた作品だと思った。
とはいえ、それは蓮實氏の云うような深い部分でなく、もっと浅い部分についてである。
それはかつて塩田作品を彩ってきた俳優たち(水橋研二、つぐみ、りょう)や、
楽曲を提供した向井秀徳らが再集結していることや、なにより
『害虫』の監督とは思えないほど饒舌な数々の台詞について感じたことだ。
ボクとしては、もう少し言葉少なく映像で語るような従来の作品の方が好みである。しかし、
邦画メジャーでヒット作を演出する経験をして、監督にも心境の変化があったのかもしれない。
いや、子供のみならず、大人たちも体面を気にすることなく迷うような時代には、
大人が子供にかけてやるべき言葉や、子供たちのそんな大人たちに対する抵抗の言葉、
そして子供たちが明日へ向かう決意を抑制せずに表現すべきだと監督は考えたのかもしれない。

今、大人は「大人」であることより、「個人」であることを選ぶようになった。
そんな大人たちを見て、子供たちの出した結論が、この映画のラストだったのかもしれない。
((なお、ルール違反かもしれませんが、星の数に意味はありません)) (2007-03-04)
[3点] りょう×つぐみ
映画内容は除外すると、
りょうサン×つぐみチャン の、同性愛シーンが『良く撮れていた』と思う。
つぐみチャンは、名作『月光の囁き』から塩田監督と撮影を共にして、本作にも登場!
なので、
ひらがな三文字の女優サンを『相方』に探して、りょうサンが起用されたのだと思う。
それから、
腕ひしぎ逆十字固め、裏アキレス腱固め の『技』が、正確に再現されており、
前作の『紀雄の部屋』で、プロレスマニアの彼女/役を演じてるので、レスラー直伝だと思う。

映画内容は、星2つ
りょう×つぐみ は、星5つ (2007-01-24)
[2点] ズシンとくる重さがありました。
 ファンタジーの快作『黄泉がえり』の後は、またガキタレ
映画ときいて、正直がっかりしました。しかし、観終わっ
て自分の考え違いに気づきました。この監督は、時代の
歪みをストレートに映してしまう子供を、敢て主人公に据
えているのだと思い直しました。それだけに、元信者の
伊沢(西島秀俊)が主人公の少年(石田法嗣)に向かっ
て言う「自分が何者であるか、自分自身で決めなくては
ならない。自分が自分でしかないという、その重荷に負
けるな。」という言葉には、重みがありました。それは、
直接にはカルト集団の刷り込みを解くことを意図したもの
でしょうが、さらに考えると、どこかのタイミングで大人で
ある親が子供に言わねばならぬことであり、しかも往々
にして言いそびれてしまう言葉です。今の時代を生きる
全ての者への普遍的な人生の助言として、監督が親に
代わってメッセージを発してくれました。
 以前、来春中学校を卒業する長男と一緒に、『どこまで
もいこう』や『まぶだち』を渋谷の映画館で観ました。反
応はイマイチだったと記憶しています。懲りずに本作を薦
めてみようかな。 (2006-12-16)
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【紹介文】
   太平洋戦争における日本の敗色が日増しに濃くなっていく昭和18年7月、アメリカ北太平洋艦隊に包囲されたキスカ島守備隊5200名を救出すべく、日本海軍は大村少将(三船敏郎)指揮の第5艦隊を派遣。やがて大村は、濃霧の中、敵艦隊を突破する作戦を実行に移した……。太平洋戦争秘話として知られるキスカ島救出作戦を題材にした戦争スペクタクル大作。日本の戦争映画には珍しく負け戦ではなく、さらには死傷者の出ない撤退作戦ということもあって、後味もどこか爽快という、稀有な傑作でもある。監督の丸山誠治は本作の成功によって、以後東宝戦争映画路線の旗手として活躍することになった。特撮の神様こと円谷英二特技監督による特撮シーンの数々も、モノクローム映像の効果ともあいまって見事リアルに映えている。團伊玖磨による主題曲「キスカ・マーチ」も、日本の映画音楽を代表する名曲として、ファンの評価が高い。(増當竜也)

【評価】 平均評価: 4.5/ 総数: 13件
[4点] あの場面がないのは、カットされたから?
小学校の授業の一環として、教師に引率されて映画を見ました。
あれから、40年以上立ちます。

印象に残っていた【あのシーン】が見たくてDVDを買ったのですが
ない!
佐藤允氏演ずる潜水艦の艦長が水兵達に敵の戦艦の名前を
レクチャーする場面がないのです!!

艦長が壁に貼った敵戦艦の絵を見せて、十数名の水兵たちに
艦長:『これは、○○○○という戦艦だっ。△×◇○と覚えるっ!!』
水兵:(一同大爆笑)△×◇○〜っ!!

艦長:『次にれは、○○○△っ! ×××◇△だっ!!』
水兵:(一同大爆笑)×××◇△〜っ!!

わ〜んっ、これが見たかったです〜っ!!
残念だったので、星4つ。

映像はものすごくきれいでした。映画でみたよりずっときれいでくっきり。 (2008-06-02)
[5点] 撤退は進攻より困難である
…という言葉を昔どこかで知りました。
この映画を最初に見たのは、もう数十年前のTV放映でしたが、その当時はまだキスカ撤退経験者の方がご存命でいらして、本編前にその当時の想い出話しをなさっていたという記憶があります。
そしてこの映画の公開当時、エンドマークが表示された瞬間、劇場は満場の拍手に包まれたとか。
日本軍が誰も殺さず、何も破壊せず、なおかつ爽快なハッピーエンドを迎えるという、戦争邦画史上稀に見る傑作と言えましょう。
  
ちなみに私の落涙ポイントは、いよいよ撤退というさ中、ある一兵卒が、地中に埋めていた食料を掘り起こしながら、残していく犬たちに「さあ、いっぱい食べろ。死ぬんじゃないぞ!(生き延びろよ、だったかな?)」と話しかけているシーン。と、胸に抱いた戦友の遺骨に「家に帰れるんだぞ」と優しく話しかけていた兵士のシーンでした。
あの犬たち、その後の米軍の爆撃を受けてもしっかり生き延びていたんですから!凄い!! (2008-03-23)
[5点] 「敵兵二十名掃討す」
などの戦闘の様子や家族・知友人への思いを綴った日本兵の日記がアッツ島でアメリカ軍に拾われた。
この日記の翻訳は多数のコピーがとられアリューシャン列島を奪還する部隊の米兵たちにある種のお守
りのようにでまわった。米兵たちは日本兵を恐れていた。だがこの日記のコピーは「敵も同じ人間だ」
と米兵たちの思いを強くしたに違いない。

濃い霧の中をおっかなびっくり攻めてくる米軍の意味合いがまた味方のキスカ守備隊を全員生きて帰還
させるための努力と犠牲、そして生還の喜びが玉砕の島アッツ島とのコントラストの強さと相まって
「米軍を出し抜いた爽快感がある戦争娯楽作品」から自身の中ではある種意味合いが変化した希有な映画
となった。

蛇足になるかもしれないが、アッツ島にいた先住民は日本軍の占領後に北海道へ(捕虜として)避難させ
られたがかなりの人が気候風土の違いなどから病死。戦後もアメリカの対ソ戦略や環境保護の名目などで
故郷への帰還は許されなかった。 (2007-09-25)
[5点] 派手な戦闘場面はないが、戦争映画の名作
 邦画の戦争映画としての最高傑作かもしれない。東宝の8.15シリーズとしては一番キャストも地味だし公開当時にヒットしたのかは知らないが、内容に関しては間違いなく傑作である。 大量殺戮による勝利の話ではないし、(山本五十六のような)偉人伝でもない。太平洋戦争の歴史全体からみれば小作戦のひとつだが、この後味の良さというか爽快感はなんなのだろうか?「二百三高地」や「大日本帝国」のようなオールスターの大作浪花節映画にアレルギーを持つ人にも自身を持って勧められる名作です。 (2007-09-12)
[5点] 同胞を救ふ為に命を賭けた人々
 私の父は、戦争中、学徒動員によって召集され、アッツ島に送られる予定であった。しかし、父は、健康上の理由から、アッツ島へ向かふ直前に除隊と成り、アッツ島で玉砕する運命を逃れた。この稀有な幸運の陰には、父の健康上の問題を知って、除隊を働き掛けてくれた父の学友のはからいが有った。−−もし、その学友の厚意が無ければ、父はアッツ島で玉砕し、私もこの世に生まれることは無かったのである。
 こうした事から、私は、アッツ島の玉砕と、それに続いて決行されたキスカ作戦には、特別の思ひを持って居る。アッツ島の玉砕は、この映画の中でも語られる様に、当時の日本軍指導部の無計画な作戦立案が生んだ悲劇であり、その愚かさは、幾ら強調されてもされ過ぎる事は無い物である。しかし同時に、その事を一番良く知って居た別の責任感有る軍人達は、上層部の愚行と無責任に憤り、キスカに残された同胞を救ふ為に、文字通り、命を賭けたのである。
 この映画を見て痛感させられる事は、キスカからの守備隊救出が、まさに命がけの作戦だったと言ふ事である。それがいかに困難な行為であったかを知り、私は、深い感慨を覚えた。
 「戦争の悲劇」と言ふ言葉を口にする事は易しい。しかし、その言葉の意味を本当に理解して口にして居る人は、どれだけ居るのだろうか。あの戦争中、自分の同胞の命を救ふ為に、命を賭けた人々の勇気と労苦を知る為に、若い人は、この映画を見て欲しい。

(西岡昌紀・内科医/戦後62年目の夏に) (2007-08-17)
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